「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」最終とりまとめの振り返り(その3)
4つの鍋。又村です。
世の中は何でもマルチタスクの時代ですが、いよいよ「鍋が4つあり、炊飯含めて4つ同時に調理できる」器械が発売されたのだとか。安全装置付きなので、調理スタートボタンを押せば、後は放置とのこと。
・・という、単なる炊飯器になるのが目に見えているネタはさておき、このところ、「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」の最終とりまとめを見ています。今回が最終回の予定でしたが、あと2回です。
【取りまとめはこちらから】
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000213332_00020.html
【これまでの議論経過はこちらから】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04612.html
この報告に基づいて、実際にどのような取組みが期待されるのでしょうか、そして、報告書の取りまとめに課題があるすれば何でしょうか。
取組みとして考えられるのが、市町村の役割として大きく取り上げられた「断らない相談」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3点です。
報告書ではこの3つを総合的に行う「新たな事業を創設すべき」としており、この方向に沿った取組みが期待されます。
それぞれの内容は前回のまとめで整理しましたので再掲はしませんが、特に「断らない相談」については、すでに障害児者相談支援をはじめとするさまざまな相談機関が整備されている中で、それらとの整合性を取りつつ、場合によっては新たな相談機能を整備することが想定されます。また、参加支援については既存の「集いの場・通いの場」といった既存の社会資源を狭間のニーズにも対応できるように広げていくことが求められますし、地域づくりに向けた支援では住民が出会う場を増やす取組みはもとより、相互ケア・相互支援の機会を創造するコーディネート機能が求められます。
ただ、いずれも、地域共生社会の実現には重要な取組みですが、市町村によっては「何から手を付けて良いのか分からない」というケースも多いのではないかと思われます。
また、この最終取りまとめを受けて、今国会で地域共生社会の実現を目指すためのさらなる法改正が提案されています。「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案」です。
【法律の概要などはこちらから】
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/201.html
法改正の概要としては、次の内容が掲げられています。
1
地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援【社会福祉法、介護保険法】
2
地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進【介護保険法、老人福祉法】
3
医療・介護のデータ基盤の整備の推進【介護保険法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律】
4
介護人材確保及び業務効率化の取組の強化【介護保険法、老人福祉法、社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律】
5
社会福祉連携推進法人制度の創設【社会福祉法】
こうした法改正も、確かに地域共生社会の実現には大切なのですが、市町村の現場では何を重視して何を進めていけば良いのか、迷うところでしょう。
今回はこれくらいに。次回は、最終回として報告書の課題部分を掘り下げたいと思います。