「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」最終とりまとめの振り返り(その4・終わり)

タングロン。又村です。

かなり全国いろいろお伺いしている又村も、北海道の「タングロン」は未だかってない衝撃。味の表現が難しい・・というか、ムリ。しかし、残念ながら製造終了なのだそうで。

・・という、駆け込み需要必至なネタはさておき、このところ、「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」の最終とりまとめを見ています。今回が最終回です。

【取りまとめはこちらから】
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000213332_00020.html
【これまでの議論経過はこちらから】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04612.html

前回までを踏まえて、報告書の取りまとめに課題があるすれば何なのか、掘り下げたいと思います。

報告書に課題があるとすれば、「市町村が何から着手したものか分かりにくい」ことではないでしょうか。
もちろん、地域共生社会の実現そのものが地域性を踏まえたものになるので、地域住民の皆さんと市町村が議論を重ねて進めていく必要があることは事実です。が、それにしても報告書で示されている内容は基本的にすべて「完成形」と「理論的な進め方」ばかりで、誰が、いつ、何を、どうやって・・が具体的に示されているわけではありません。それこそが市町村の頑張るべき部分なのだとは思いますが、残念ながら地域によって取組みの差が生まれてしまう要因にはなるでしょう。
そして、もう1つは報告書で示された「新たな事業」を実践する際のレベル感が不明確な点が気になります。たとえば「参加支援」「地域づくりに向けた支援」に力点を置いて地域住民主体のサロンを数多く整備したとして、そういう場所で発達障害のある、引きこもり状態で感情のコントロールが難しい、一方で福祉サービスの利用はしたくない経済的な困窮を抱えている人(制度の狭間で複合的な課題を抱えている人)を受け入れることができるでしょうか。おそらく非常に難しいでしょう。しかし、こういう人こそが従来の縦割り型福祉制度では対応できずに困っていることが予想され、ここに応える「参加支援」が抜け落ちている状況で「地域共生社会の実現」とはいえません。もちろん、地域住民が主体となった「気軽に立ち寄ることができるサロン」も「参加支援」としては重要です。

つまり、「参加支援」1つ取っても、制度の狭間で複合的な課題を抱えている人が福祉的な「臭い」を感じることなく安心して所属することができる、他方で突然の不調やパニックなどにも対応可能な、非常に高度で即応的な支援スキルを有するスタッフがいる「場」(これを又村は「リンキュベート・プレイス」と名付けています)と、いわゆる住民主体のサロン的な「場」という、最低2種類の「場」が想定されるわけです。
しかし、報告書ではこの2つが明確に分けて記載されていないため、このままでは市町村が住民主体のサロン的な「場」を整備したところで対応完了!となってしまうのではないか・・という懸念があります。(そして、これは「参加支援」に限った話ではなく、全体的にいえることです)
また、今回の「新たな事業」は、社会福祉法での規定が義務的ではなく「任意事業」となっており、平たくいえばやってもやらなくても良い位置づけとなっています。このことも、市町村による取組みの差を生む可能性があります。

・・と、報告書の課題と思われるところをいくつか取り上げましたが、理念的にも実態的にも、地域共生社会の実現に向けた取組みは(進め方や主なターゲットの設定などは地域ごとに異なる可能性が高いとしても)必要なことであり、考え方や方向性は前向きに評価できるものと思います。地域ごとの違いを特性として活かしながら、少しずつでも取組みが進んでいくことを期待したいと思います。

では、「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」最終とりまとめの振り返りはこれで終わりです。次回からは、3月9日に開催された障害保健福祉主管課長会議のまとめに進みます。

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