障害児入所施設の在り方に関する検討会・中間報告が公表されました(その3)
再利用。又村です。
全国的に有名な群馬県横川の釜飯。当然ながら食べたら器が残るわけですが、再利用ってどうするんだろ?大きさ的には一人鍋用の器かな。
・・という、公式にも再利用推奨だったネタはさておき、
このところ、障害児入所施設の在り方について取り上げています。
【障害児入所施設の在り方に関する検討会】
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_321418_00001.html
【障害児入所施設の在り方に関する検討会・中間報告】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07758.html?fbclid=IwAR1j7fiPbo3AE0dK1E0mthfq0RIY2DIMhfhZBBQXGKSl32lUnhiUkBIroq0
【障害児入所施設の在り方に関する検討会中間報告・目次】
※ 終わった項目は削除していきます
3.障害児入所施設改革に関する基本的視点と方向性
(1)基本的視点
(2)基本的方向性
① ウェルビーイングの保障:家庭的養護
② 最大限の発達の保障:育ちの支援と合理的配慮
③ 専門性の保障:専門的ケアの強化と専門性の向上
④ 質の保障:運営指針の策定、自己評価・第三者評価等の整備
⑤ 包括的支援の保障:家族支援、地域支援の強化、切れ目のない支援体制の整備、他施策との連携
4.施設種別ごとの課題と今後の方向性
(1)福祉型障害児入所施設の課題と今後の方向性
1)発達支援機能
① 家庭的な養育環境の推進
② 専門性の高い支援
2)自立支援機能
① 自立に向けた支援の強化
② 18歳以上の障害児入所施設入所者への対応(いわゆる「過齢児問題」)
3)社会的養護機能
① 被虐待児等の増加を踏まえた支援力の強化
② 児童養護施設等との連携強化
4)地域支援機能
家庭支援専門相談員の配置の必要性
5)その他
職員の配置基準
(2)医療型障害児入所施設の課題と今後の方向性
1)発達支援機能
① 福祉的支援の強化
② 強度行動障害児等への対応
③ 医療的ケア児への対応
④ 教育の強化
2)自立支援機能
① 児者一貫のもとでの発達支援・自立支援
② 地域生活への移行に向けた支援
③ 有期有目的支援の強化
3)社会的養護機能
被虐待児等の増加を踏まえた支援力の強化
4)地域支援機能
① 短期入所を活用した支援について
② 通所支援の活用について
③ ソーシャルワーカーの配置について
(3)福祉型・医療型に共通する課題と今後の方向性
① 契約入所と措置入所の整理
② 質の確保・向上
③ 入所施設間の連携強化について
④ 障害児入所施設の名称の変更
⑤ 権利擁護について
⑥ 他の障害福祉サービスや他分野の施策の柔軟な利用
⑦ 都道府県・市町村の連携強化
(4)機能強化に向けた取り組み
5.最終報告に向けて
中間報告では、児施設が目指すべき基本的な方向性として、次の5点を掲げています。
① ウェルビーイングの保障:家庭的養護
② 最大限の発達の保障:育ちの支援と合理的配慮
③ 専門性の保障:専門的ケアの強化と専門性の向上
④ 質の保障:運営指針の策定、自己評価・第三者評価等の整備
⑤ 包括的支援の保障:家族支援、地域支援の強化、切れ目のない支援体制の整備、他施策との連携
ウェルビーイングの保障は、まさに子どもの生活が保障され、個々に応じた成長・発達・自立が図られることを指します。入所施設という環境であっても、できる限り良好な家庭的環境の中で、特定の大人との継続的で安定した愛着関係の中での育ちを保障する点が強調されています。
最大限の発達の保障は、読んで字のごとく幼児期からライフステージを通じて、子どもの育ちを支援することを指します。特に障害児の施設なわけですから、子どもの障害状況などに応じた、専門性をもった発達保障が前提となります。
専門性の保障は、特に、強度行動障害、医療的ケア、虐待等による愛着形成の課題など、ケアニーズの高い入所児童が多くなっていることを踏まえ、医療機関との連携や医師・心理師等の専門職の配置の推進や専門性の向上などが重要としています。
質の保障は、いうまでもなく適切な運営や職員の質確保といった内容になります。児童発達支援や放課後等デイサービスに設定された「ガイドライン」のような運営指針を作成することが示されています。
包括的支援の保障は、障害児本人だけでなく、家族支援、地域支援の強化、切れ目のない支援体制の整備、他施策との連携をトータルに実施することを指します。これについては細かく踏み込んだ記述がされており、具体的には次のとおりです。
まず、家族支援の強化に関しては、子育てに不安や孤立感を感じる家庭もあることから、地域全体で支える仕組みづくりなど、家族を含めたトータルな支援を行っていくという視点が大切としています。また、虐待による入所の場合には、家庭復帰後の虐待再発防止(親支援)も必要であることが示されています。
地域支援の強化については、児施設が地域における重要な社会資源であることを踏まえ、医療的ケア児や里親等を支える地域支援、短期入所の活用などによる地域の子育て支援の機能を果たすことを求めています。
切れ目のない支援体制の整備・他施策との連携では、児施設が市町村ごとに設置されているわけではない(むしろ、都道府県に数か所)という実態から、子どもと家族が今まで暮らしていた地域から離れてしまうことを受け、市町村域、児童相談所を含む都道府県等、また地域の障害福祉サービス事業所、学校等、関係機関が積極的に関与して連携を図る必要が指摘されています。
また、地域共生社会の実現を目指す観点からも、障害児施策だけで完結するのではなく、母子保健施策、子ども子育て支援施策、社会的養護施策等と連携して包括的に課題に対応していくことも重要とされました。そのため、市町村域を基盤とした制度間の切れ目のない多機関・多職種連携による相補的なシステムづくりを求めています。
では、今回はこれくらいに。次回は、施設種別ごとの課題と今後の方向性に進みたいと思います。