重度訪問介護の就労利用拡大は見送りの報道(お知らせ)

老眼。又村です。

昨年の今ごろなった(と思われる)老眼ですが、一年経過してますます絶好調(笑)そこで気になったのが、コンタクトの人ってどうしているんだろ?メガネみたいに外せないし。

・・という、両用コンタクトがあることを知ったネタはさておき、

今日は、このところ話題になっていた重度訪問介護の就労中利用が見送られる方向性が報道されました、というお知らせです。

【方向性の報道】
重度障害者就労 見直しを先送り 企業助成金は拡充
東京新聞・2019年12月16日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201912/CK2019121602000121.html

重い障害のある人の生活を支える障害福祉サービス「重度訪問介護」が就労中は公的補助を受けられない問題を巡り、厚生労働省は十五日、就労中や通勤時の障害者をサポートした企業に支払う助成金を拡充する方針を固めた。重い障害のある、れいわ新選組の舩後靖彦参院議員らが仕事中も公的補助対象とするよう制度の見直しを求めていたが、障害福祉サービス制度自体の見直しは先送りする。
厚労省は障害者の社会参画につながるよう、引き続き実態に合った支援策を検討する。
この助成金は、法定雇用率を下回った民間企業が支払う「納付金」が財源。現在は
(1)職場に介助者を配置した場合、必要な経費の四分の三を助成するか
(2)障害者一人につき月十五万円を支払う-といった内容。
この助成率を引き上げ、企業の活用を促す。来年度から始める予定で、今後、詳細を決める。大企業に比べて障害者雇用が低調な中小企業には、さらに高い助成率を検討する。
これでも足りない場合は、障害者を対象に自治体が行う「地域生活支援事業」を活用してもらう。ただし事業の実施や支援の必要性は自治体が判断するため、認められない場合もある。厚労省はこの事業への補助として、来年度予算案に十五億円を計上した。
また厚労省が重度訪問介護のサービスを担う約七千五百事業所を対象に行った初の全国調査で、重い障害のある人の就労率は6%(速報値)にとどまっていたことも判明した・・などと伝えています。

障害者の就労支援、拡充へ 厚労省、企業への助成金アップ
共同通信・2019年12月16日
https://this.kiji.is/578914824393393249?c=39546741839462401

上記と同趣旨です。

重度訪問介護とは、長時間の派遣を前提とするヘルパーサービスの一類型で、身体介護、家事援助、外出支援などを随時に組み合わせて提供することができるサービスです。主に肢体不自由のうち自力での起き上がりも困難な人が利用していますが、近年では重度の行動障害がある人の利用も増えつつあります。
こうした特徴がある重度訪問介護ですので、1日の生活を重度訪問介護によって組み立てている人が大多数となっており、ゆえに就労時間中も利用したいという要望は以前から上がっていました。ただ、国(厚労省)としては就労中、特に企業で雇用されている人については会社側での対応が基本となることから、これまで原則として就労中の利用は認めていません。
この運用について、先の参院選で当選した「れいわ新選組」の国会議員からも見直しの声が出されたことから、厚労省が検討を進めてきたところです。(新聞記事を読む限り、今後も検討は進めるようです)

結論しては、このタイミングで重度訪問介護を就労中も利用できる運用とはせず、当面は会社側の対応を求める方向が継続されることとなりました。会社側での対応については、現行でも「障害者雇用促進法」によって就業に必要な介助やケアを提供した場合に助成金が支出される仕組みがありますが、これをさらに拡充することとなりそうです。なお、この助成金は、障害者雇用が法定の割合に達していない会社から徴収する「納付金」によって運用されています。

では、この納付金制度はバランスしているかといえば、平成29年度決算によると33億円の黒字(納付金の方が多い)となっています。しばらくは余裕がありそうです。ただ、過去には平成21年から25年度まで赤字だった実績もあり、理論的には障害者雇用が進めば進むほど赤字になる可能性が高くなるお金でもあります。
また、納付金による助成では不足する場合には市町村の地域生活支援事業を活用する方向となっていますが、地域生活支援事業は市町村が積極的に実施すればするほど市町村財政を圧迫する仕組みですので、その点では不安が残る運用といえます。
いずれにしても、厚労省としては引き続きの検討をするようですので、今後の展開を注視する必要がありそうです。

では、今回はこれくらいに。

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