障害児入所施設の在り方に関する検討会・中間報告が公表されました(その4)
豆鹿。又村です。
マメジカと読みます。鹿とはいうものの、鹿とはあんまり近縁ではないそうですが、そんなことはどうでも良くて、死ぬほど可愛い・・大きい目とか、ホントにもう。
・・という、実は希少種なネタはさておき、 このところ、障害児入所施設の在り方について取り上げています。
【障害児入所施設の在り方に関する検討会】
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_321418_00001.html
【障害児入所施設の在り方に関する検討会・中間報告】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07758.html?fbclid=IwAR1j7fiPbo3AE0dK1E0mthfq0RIY2DIMhfhZBBQXGKSl32lUnhiUkBIroq0
【障害児入所施設の在り方に関する検討会中間報告・目次】
※ 終わった項目は削除していきます
4.施設種別ごとの課題と今後の方向性
(1)福祉型障害児入所施設の課題と今後の方向性
1)発達支援機能
① 家庭的な養育環境の推進
② 専門性の高い支援
2)自立支援機能
① 自立に向けた支援の強化
② 18歳以上の障害児入所施設入所者への対応(いわゆる「過齢児問題」)
3)社会的養護機能
① 被虐待児等の増加を踏まえた支援力の強化
② 児童養護施設等との連携強化
4)地域支援機能
家庭支援専門相談員の配置の必要性
5)その他
職員の配置基準
(2)医療型障害児入所施設の課題と今後の方向性
1)発達支援機能
① 福祉的支援の強化
② 強度行動障害児等への対応
③ 医療的ケア児への対応
④ 教育の強化
2)自立支援機能
① 児者一貫のもとでの発達支援・自立支援
② 地域生活への移行に向けた支援
③ 有期有目的支援の強化
3)社会的養護機能
被虐待児等の増加を踏まえた支援力の強化
4)地域支援機能
① 短期入所を活用した支援について
② 通所支援の活用について
③ ソーシャルワーカーの配置について
(3)福祉型・医療型に共通する課題と今後の方向性
① 契約入所と措置入所の整理
② 質の確保・向上
③ 入所施設間の連携強化について
④ 障害児入所施設の名称の変更
⑤ 権利擁護について
⑥ 他の障害福祉サービスや他分野の施策の柔軟な利用
⑦ 都道府県・市町村の連携強化
(4)機能強化に向けた取り組み
5.最終報告に向けて
児施設の種別ごとの課題と今後の方向性については、福祉型と医療型に分けて取り上げた上で、共通する課題を整理しています。
まず、福祉型では第一に「発達支援機能」が重要であると示しています。具体的には、家庭的な養育環境の推進、専門性の高い支援の2点となります。
家庭的な養育環境の推進では、障害に対する正確な理解と、障害特性に応じた環境の提供を前提としつつ、できる限り良好な家庭的環境の中で、特定の大人との継続的で安定した愛着関係の下で行われる必要がある・・としています。そのため、ユニット化等によるケア単位(居住単位)の小規模化のみならず、将来的には地域小規模障害児入所施設(障害児グループホーム)(仮)を導入することについても検討すべきとしています。既存の制度としては、より家庭的な環境として、里親やファミリーホームがあることから、障害に関する研修の実施など支援を強化することが重要であり、その部分については児施設も一定の役割を担うことが期待されます。
専門性の高い支援では、愛着形成の課題や強度行動障害など、支援の必要性が高い入所児童が多くなっていることを踏まえ、たとえば強度行動障害に関する研修の推進、強度行動障害児を受け入れた場合の支援施策などにより、職員の専門性を高めるための支援を強化すべきことが示されています。
次に、「自立支援機能」の重要性も指摘されています。
1つには自立に向けた支援の強化として、早い段階から退所後を見据えた支援に取り組むことが求められます。家族や地域、自治体、学校、相談支援事業所、障害福祉サービス事業所、医療機関など関係者・関係機関との連携を強化するためのソーシャルワーカー配置も提言されました。また、関係者・関係機関による協議が行われるような体制整備を図る必要性について、市町村が策定する障害児福祉計画などの中で明示することを検討すべきとしています。
この点に関しては、相談支援の1類型である「地域移行支援」を障害児入所施設でも利用できる運用とするだけで、状況は大きく改善すると思われます。
他方で、いわゆる「過齢児」の問題については、現在でも18歳を過ぎて児施設に在籍する人が多く、対応方策が求められています。今回の中間報告では、年齢に応じた福祉サービスの利用が望ましいこと、入所施設の中に児童と大人が混在することにより、支援の質が低下するおそれがあることなどを指摘した上で、福祉型については満18歳をもって退所する取扱いを基本とすべきであると明示しました。
ただし、現に入所している人への対応については、引き続きの検討となっています。
3点目としては、「社会的養護機能」が挙げられています。
被虐待児等の増加を踏まえた支援力の強化として、入所児童の中に被虐待児も増えている状況を踏まえ、児施設が社会的養護機能を発揮することも求めています。そこで、心理的ケアを行う専門職の配置の推進や、職員に対する更なる研修、児童相談所との連携強化等を行うべきとしています。そして、当然といえば当然ですが児童養護施設では障害児の受入れが急増していますので、児童養護施設等との連携を強化し、互いのノウハウや専門性を学びあい、新たな課題への対応力を高めていくことが必要としています。
4点目は「地域支援機能」です。
いうまでもなく、障害児のうち児施設で暮らすケースは少数であり、大半の障害児は自宅で暮らしています。現状でも、障害児の短期入所は児施設の重要な地域支援ですが、今回の中間報告では地域のニーズに十分に応えるだけのマンパワーが不足しているため、家庭支援専門相談員の配置が必要であるとしています。
その他、職員の配置基準についても改善の必要性が指摘されています。児施設における職員の基本配置は、昭和51年に4.3:1となって以来、引き上げられていないことも背景にあるようです。
これで、福祉型施設の課題と今後の方向性を終わります。次回は医療型の課題と今後の方向性に進みます。