「障がい者による文化芸術活動の推進に関する法律」とは?障がいのある人の文化芸術鑑賞の参加を支援する法律
障がい者による文化芸術活動の推進に関する法律とは?
「障がい者による文化芸術活動の推進に関する法律」(略称:障がい者文化芸術活動推進法)は2018年6月施行された、比較的新しい法律です。この法律は、障がいのある人が文化芸術(音楽、映画、絵など)を鑑賞・参加・創造するための環境整備や、そのための支援を促進することを目的としています。
具体的には、以下のような取組みを進めることになっています。
- ・文化芸術の鑑賞・創造の拡大
- ・作品を発表する機会の増加
- ・芸術上価値が高い作品の保護や評価
- ・相談体制の整備や人材育成
- ・施設のバリアフリー化
- ・障がい者の文化芸術活動の推進に関する国計画、都道府県計画の策定
など
この法律が施行されてから全国の都道府県で障がい者の文化芸術活動の推進に向けた支援について計画策定が進み、必要な財政上の措置も徐々に取られていることから、全国各地で障がいのある人の文化芸術活動の機会がさらに広がることが考えられます。
具体的な取り組み内容とは?
障がい者文化芸術活動推進法では、障がい者の文化芸術活動の促進のために、支援措置を定めています。具体的な取り組み内容は以下のようになっています。また、こうした取り組みを国、都道府県のそれぞれで計画としてまとめることになっています。
文化芸術の鑑賞機会の拡大
- 文化芸術における作品等に、音声・文字・手話などを使った説明を提供するほか、劇場・美術館・映画館・コンサートホールなどの施設を円滑に利用できるよう、障がいの特性に応じた構造や設備を整備し、文化芸術を鑑賞する機会の促進につながるように取り組みが検討されます。
文化芸術活動機会の拡大
- 社会福祉施設や学校などで、障がい者が必要な支援を受けながら文化芸術活動をするための環境整備が行われます。
文化芸術作品等の発表機会の確保
- 文化芸術施設などで障がい者の作品を発表する催しなどを開催し、芸術上価値が高い作品は海外へ発信するなどの取組みが進められます。
芸術上価値が高い作品等の評価・調査
- 障がい者の作品等に対する適切な評価や専門的な調査を行うための環境を整備します。また、作品が適切に記録・保存ができるよう必要な措置もとられます。
権利保護の推進
- 障がい者の作品における所有権および著作権を保護するために、必要な制度作りや指針の作成、公表などの施策がとられます。
芸術上価値が高い作品等の販売・公演に係る支援
- 芸術上価値が高い作品については、販売・公演などの事業活動が円滑に行われるように、連絡調整や支援体制の整備が行われます。
文化芸術活動を通じた交流の促進
- 障がい者が学校を訪問して文化芸術活動を行ったり、特別支援学校の生徒と一緒に文化芸術活動を行ったりするなど、交流する機会を設定します。また、国際的な文化芸術イベントへの参加促進など、国際交流に必要な施策もとられます。
相談体制の整備等
- 障がい者やその家族、関係者からの文化芸術活動に関する相談体制の整備が行われます。
人材の育成等
- 障がい者が文化芸術活動を行うことができるよう、支援する人材の育成や確保するため、研修や大学等での人材育成などを進めます。
情報の収集等
- 障がい者の文化芸術活動における取組みについて、情報収集・調査研究などを行い、成果の普及に努めることとされています。
関係者の連携協力
- 障がい者における文化芸術活動の施策が円滑に行われるように、関係機関(社会福祉法人・教育機関、その他の関係者や団体)が協力し、必要な施策がとられます。
(文化庁資料を元に作成)
まとめ
ここまで、障がい者文化芸術活動推進法について説明してきました。この法律の施行で、文化芸術活動を通して障がいのある人の個性や能力を発揮するための取り組み、社会参加のための環境整備が徐々に進められています。お近くでも文化芸術活動に関する取り組みが行われているかもしれませんので、ぜひ調べてみてください。
関連記事