動画でわかる障がい者福祉制度・サービス

遺言・遺贈亡くなる前に財産の扱いなどを示す「遺言」と、遺言によって財産を譲る「遺贈」

動画でわかる「遺言・遺贈」の概要

はじめにはじめに

遺言とは、自分の財産を、亡くなった後で残された家族などへ分配するための意思表示のことをいいます。基本的には、「自分が亡くなった後は銀行に預けているお金は○○へ、土地は○○へ譲る」のように、あらかじめ財産の分配方法について書き残す遺言書(遺言者の意思表示)を残す必要があります。

一般的に人が亡くなると、その人の財産や権利は、配偶者や子どもなどの法定相続人に相続されます。しかし、もし家族以外の特定の人や団体に財産を受け渡したい場合は、遺言にそのことを書けば、その効力によって財産は無償で譲り渡されます。これを、「遺贈」といいます。

また、相続する人が85歳未満の障がいのある人の場合、「相続税の障がい者控除」が対象となります。障がい者控除によって、相続した財産にかかる税額から一定の金額が差し引かれます。

遺言・遺贈の概要、対象、利用できるタイミング、利用までの流れ、よくある疑問について説明します。

01遺言・遺贈とは

人が亡くなった後は、その人の財産をどうするべきかという問題があります。もし、遺言書がない場合は、民法に従って「法定相続人」が一定の割合の財産を相続します。法定相続人とは、配偶者・子ども・孫・ひ孫・両親・祖父母・兄弟姉妹などです。

財産の引き渡しについて希望がある場合は、遺産を残す人の意思を反映させる遺言書を残す必要があります。遺言書の内容の例としては、以下のようなものがあります。

・子どもや配偶者に財産を相続させる場合に、「妻(もしくは夫)に財産の3分の1、子どもに3分の2」など、相続配分を指定する

・遺産を分割する場合に、「妻(もしくは夫)に預貯金を、子どもには家を」と分割方法を指定する

・財産を特定の人に譲りたい場合に指定する

また遺贈とは、遺言によって財産を無償で譲ることを意味します。譲る相手(受遺者)には特に制限はないため、家族以外の第三者や特定の団体に財産を残したい場合に、有効な方法です。

02誰が利用できるのか

遺言は満15歳以上であれば、誰でも残すことができます。ただし、認知症の人、精神障がいのある人、知的障がいのある人は、遺言を残すための判断力がないと認められる場合、遺言が無効となることがあります。

相続税の障がい者控除の対象者は、以下の3つの要件を満たしている人です。

1. 相続や遺贈で財産を受け取ったときに、日本国内に住所がある人

2. 相続や遺贈で財産を受け取ったときに、障がい者である人(原則として障がい者手帳を持っている人)

3. 相続や遺贈で財産を受け取った人が法定相続人であること

相続税の障がい者控除の対象となる人とは?

相続税の障がい者控除の対象は、次のいずれかに該当する人を指します。

1. 精神上の障がいがあり、自分で判断することが難しい人

2. 児童相談所、知的障がい者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障がいがあると判定された人(療育手帳や愛の手帳などを持っている人)

3. 精神障がい者保健福祉手帳を持っている人

4. 身体障がい者手帳を持っている人

5. 身体又は精神に障がいのある年齢が満65歳以上の人で、障がいの程度が1、2又は4と同等の認定を受けている人

6. 戦傷病者手帳を持っている人

7. 原子爆弾被爆者として認定を受けている人

8. 申請する年の12月31日の時点で、6ヶ月以上にわたって身体の障がいにより寝たきりの状態にあり、複雑な介護を必要とする人

障がい者控除における扶養義務者のメリット

相続税額より障がい者控除の控除額が大きい場合、他の相続人(障がい者の扶養義務者)と分け合うことができます。また、分け合った後にも控除額が残ってしまう場合は、次の相続のために残しておくことが可能です。ただし、障がいのある方が一切財産を相続していない場合は適用されませんので、注意が必要です。

03遺言・遺贈における制限

遺言や遺贈を行えるのは人生に一度きりで、基本的に期間や年齢の制限はありません。遺言については満15歳以上であれば、誰でも残すことができます。

03どうすれば利用できるのか

遺言や遺贈をする場合には、主に3つの方法があります。

1.自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言を残したい人が紙に遺言を手書きで作成する遺言です。日付と氏名を書き、署名の下に押印をします。手軽に遺言を残すことができるというメリットがある一方、内容に不備があった場合は訂正印や署名が必要になるため、方式の不備により無効となる可能性もあります。

2.公正証書遺言

遺言を残したい人が公証人の目の前で遺言の内容を伝え、それに基づいて公証人が文章をまとめながら作成するのが、公正証書遺言です。法律の専門家の立ち合いのもとで作成されるため、不備が起きづらく、相続手続きもスムーズに行われます。ただし、公正証書の作成は有料です。

3.秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言の内容を誰にも知られたくないときに用いられる遺言です。遺言を残したい人は、遺言書を作成して署名捺印をして封をします。そして、遺言書と同じ押印をしたうえで公証人に提出し、さらに公証人は提出日と内容を封紙に記載して遺言者・証人たちが署名押印をして作成が完了します。

公証人にも遺言の内容は明かされないため、秘密は守ることができます。しかし、遺言の内容に不備があった場合は無効となる可能性があります。

よくある疑問とその答えよくある疑問とその答え

  • question
  • 金銭以外も遺贈することができますか?
  • question
  • 土地・不動産・家など、換金性や収益性が確保できるものであれば財産として遺贈することができます。
  • question
  • 遺言書を残すには何か特別な費用が必要ですか?
  • question
  • 公正証書遺言の作成には作成手数料が発生します。公証人への手数料のほか、弁護士に依頼して遺言や遺贈を残す場合は、一定の費用が必要になります。また、遺言や遺贈を通して財産を譲り渡す場合は相続税が、相続人以外の人への遺贈の場合は不動産所得税がかかる場合もあります。自分一人で相続税を算出すると誤りが出る場合があるので、有料にはなりますが、税理士などの専門家に税金の計算を依頼した方が良いでしょう。
関連記事