通常級における教育支援(通級指導教室や教育支援員(加配制度))障がいのある児童生徒が通常級に在籍しながら受けられる教育支援とは
動画でわかる「通常級における教育支援(通級指導教室や教育支援員(加配制度))」の概要
はじめに
障がいのある児童生徒は、障がいの状況や、本人・家族の希望などに応じて、地域学校の通常級に在籍するケースがあります。その場合、必要に応じて障がいの特性に配慮した特別な指導を行う通級指導教室の利用や、教育支援員によるサポートなどを受けることができます。
この記事では、通常級における教育支援の内容、対象、利用できる期間、利用までの流れ、よくある疑問について紹介します。
通常級における教育支援とは
障がいのある児童生徒が地域の学校に通うときには、就学先として一般的なクラスである「通常級」、少人数制で一人一人の障がいの特性に応じた教育を受けられる「特別支援学級」などの選択肢があります。
通常級に在籍する条件は集団学習に参加できることですが、そのために支援が必要な場合には、障がいのない児童生徒と一緒に授業を受けつつ、必要に応じて障がいの特性に応じた個別の教育支援を受けることも可能です。
通常級における教育支援の主な内容
通常級における教育支援は、主に以下の2つです。
- 1.通級指導教室の利用
- 2.教育支援員(加配制度)
- 通級指導教室の利用
通級指導教室は、小・中学校に通う、比較的障がい程度が軽い児童生徒向けの指導教室のことで、一人ひとりの障がいや特性に合わせた個別の指導が受けられます。
通級指導教室が設置されている学校に通って指導を受けるのが一般的ですが、市町村によっては、通級先が特別支援学校や教育センターとなる場合もあります。通級指導教室は全国にあり、設置数は年々増加傾向にあります。 - 教育支援員(加配制度)
加配制度とは、障がいのある児童生徒をサポートするため、教員や支援員を通常の基準以上に配置する制度のことです。小・中学校、高校に配置される指導員は「教育支援員」や「特別支援教育支援員」と呼ばれ、日常生活における介助を行ったり、学習活動上のサポートを行ったりします。障がいのある児童生徒を受け入れている学校では、この加配制度を導入していることが多く、国も補助制度を設けてこの加配制度の活用を推進しています。
通級指導教室と特別支援学級の違いは?
特別支援学級は障がいによって学習や日常生活の困難を抱えている児童生徒のために設けられた学級です。それぞれの児童生徒が抱える障がいの特性によってクラスが編成され、他学年と一緒に学ぶこともあります。
一方、通級指導教室は在籍している通常級で授業を受けるため、原則として他学年と合同で授業を受けることはありません。また、教科や授業の内容により、週に数時間ほど特別支援学級に出向いて(通級して)、特別な授業を受けることもあります。どちらの学級に通うかは、就学支援相談を通して市町村の教育委員会や就学支援委員会が決定します。
誰が利用できるのか
通常級における教育支援は、基本的に障がいの軽い児童生徒が対象です。通級指導教室が利用できる対象者は、法令によって以下のように定められています。
・言語障がい
・自閉症
・情緒障がい
・弱視
・難聴
・学習障がい
・注意欠陥多動性障がい
・その他障がいで、特別の教育課程による教育を行うことが適当な者
また、教育支援員がサポートする対象は文科省の規定に基づきつつ、教育委員会が決めています。以下のような障がいや特性のある児童生徒が対象となります。
・自分でご飯を食べることが難しい
・発達障がいがある
・車いすを使用していて、移動が困難
・視覚障がいがある
・頻繁なてんかん発作がある など
利用できる期間・年齢
通常級における教育支援は小学校~高校に在学している間に利用できます。また、加配制度は小・中学校で利用できるケースが多いですが、高校では加配制度の導入はまだまだ進んでいないのが現状です。
学校によって利用できる要件や支援内容が異なるため、通っている学校やお住まいの市町村教育委員会などへ確認すると良いでしょう。
どうすれば利用できるのか
通級指導教室を利用したい場合、まずは保護者が申し込みを行います。市町村教育委員会の就学支援相談窓口で相談し、通級についての説明を受けてから必要資料を作成します。通級指導教室の利用については、就学支援委員会等が審議を行い、決定します。
加配制度による教育支援員のサポートを受けたい場合は、保護者が就学先の学校を通して加配の認定手続きを行います。市町村によって教育支援の認定手続きの流れは異なるため、お住まいの地域の就学支援の窓口などで相談しましょう。
相談申込書は所定の窓口(お住まいの地域の教育委員会等)に提出します。新しく就学する場合は郵送、既に就学している場合は学校へ提出するケースもあります。
よくある疑問とその答え
- 行きたい通級指導教室を選ぶことができますか?
- 通級指導教室を利用者側から指定することはできません。ほとんどの市町村で通級指導教室の担当校が決まっています。現に通っている学校が指定の教室となっているとは限らないため、教育委員会又は特別支援教育コーディネーター、担当教員に確認するようにしましょう。
- 加配制度の支援員はどのように配分されていますか?
- 例えば、公立の小・中学校の場合、まず少人数指導の実施やいじめ・不登校への対応といった課題解決のため、都道府県ごとに加配指導員の総数から配分します。そして、各学校が実施する取組みに合わせて加配制度を利用する流れが一般的です。各都道府県で加配定数が異なっているため、入学を検討している学校に事前に確認すると良いでしょう。