オープンカレッジ大学や短期大学、専門学校などが一般向けに公開している講座、オープンカレッジとは
動画でわかる「オープンカレッジ」の概要
はじめに
障がいの有無に関わらず、好きな分野を中心にいつでも自由に知識やスキルを身につけ、人生を豊かにするのが「生涯学習」です。そんな生涯学習を実現するために、利用条件を満たした人が、大学や短期大学、専門学校などで講義を受けることができる「オープンカレッジ」という取組みがあります。もちろん、利用条件を満たしていれば、障がいのある人でも参加できます。
この記事では、オープンカレッジの概要や利用条件、利用方法、よくある疑問について紹介します。
オープンカレッジとは
生涯学習とは、生涯にわたって行う学校教育・社会教育・文化活動・スポーツ活動・ボランティア活動といったあらゆる学習のことです。オープンカレッジは、こうした生涯学習の機会を提供する場として、利用条件を満たした人が地域の大学などで講義を受けられる取組みのことです。
障がいのある人が特別支援学校などを卒業した後は、生涯学習の機会が乏しいという現状があります。しかし、大学などが公開講座を行っているオープンカレッジは、利用条件を満たせば障がいのある人でも参加することができるので、学ぶ楽しみを見出す場となっているほか、障がいがある人同士の交流の場にもなっています。
オープンカレッジの講座の種類
オープンカレッジは、基本的に単独のイベントとして実施されますが、中には大学などの単位取得を目的とした聴講生・科目等履修生制度などもあります。講座の期間・回数・対象者は実施する学校ごとに異なり、講座の形態も座学・ワークショップ・体験学習など、多くの種類があります。近年では、大学などに足を運んで講座を受けるだけでなく、訪問型やオンライン型のオープンカレッジも増えています。
オープンカレッジの講座内容
障がいのある人向けのオープンカレッジの一例について見ていきましょう。
- 東京学芸大学
講座回数:年に3~4回
過去に実施した講座内容:理科講座(サイエンス・ラボ)、地理講座(ディスカバーWorld)、日常生活に関する講座(住まいを選択するわざ)など
1995年、日本で初めて知的障がいのある人を対象とした生涯学習講座を開催したのが、東京学芸大学「オープンカレッジ東京」です。特別支援学校では理科の実験をする機会が少ないという受講者の意見をもとに、リトマス紙を使った実験を行う理科講座や、用意した食材をもとに地理を学ぶ地理講座、携帯電話やインターネットに関わることやグループホームの選び方などの講義などを行っていました。 - 静岡大学
講座回数:年に4回程度
過去に実施した講座内容:洋服の選び方、メイクの仕方、情報セキュリティ、ホームページのアクセスに関する講座など
1949年発足の国立大学、静岡大学のオープンカレッジでは、学生スタッフが受講生の「学びのパートナー」となり、講座に一緒に参加して学んでいます。2018年度からは重度の心身障がいのある人を対象とした「訪問カレッジ」を実施しているほか、コロナ禍においてはYouTube を使って講座を限定配信しています。 - 東北大学
講座回数:年に3回程度
過去に実施した講座内容:座学(ディスカッションを含む)、スポーツの実技など
東北大学の「杜のまなびや」は、東北大学生と知的障がいのある人が一緒に学ぶオープンカレッジとして、2006年度に開講しました。講座のテーマは都度異なりますが、過去には気持ちの伝え方、コミュニケーションの取り方、音楽について、お金について、などの講座を実施しています。講座ではグループを組んで共同学習を行い、1つのグルーブにボランティア学生が1~2名入って行われます。 - 大阪府立大学
講座回数:1~2ヵ月に1回程度
過去に実施した講座内容:体験的なワークショップ、お菓子作りなどの調理、課外活動、スポーツ、経済の講座(座学)など
大阪府立大学は、関西最初のオープンオープンカレッジを開講し、学生スタッフが中心となって運営しています。主に軽度から中度の知的障がいのある人が参加しており、学生サポーターが受講生に対して1:1の割合で配置されます。2017年度には「障がい者の生涯支援活動」に係る文部科学大臣表彰を受賞するなど、教育福祉研究センターの活動の一環として生涯学習社会を支えています。
オープンカレッジと「オープンキャンパス」はよく混同されますが、オープンキャンパスとは入学希望者に対して学校説明会や体験授業などを実施し、学校の特徴を紹介して関心を寄せてもらう取り組みのことです。
誰が利用できるのか
オープンカレッジへ参加できる対象者は、実施する学校によって条件が異なります。基準を満たせば誰でも参加できますが、知的・発達障がいのある人の場合には、読み書きができるといった条件が設けられていることもあります。
参加を希望する場合には、募集要項に記載されている電話やメールなどの問い合わせ先に相談するようにしましょう。重度障がいのある人でも、スタッフのサポートを付けて講座を受講できる取組みを行なったり、自宅へ訪問型のオープンカレッジを実施していたりする大学などもあります。
オープンカレッジの利用条件
オープンカレッジは、基本的に18歳以上を対象としており、実施回数は大学ごとに異なりますが、年に3~4回程度実施しているケースが多く見られます。
1回ごとに受講生を募集するタイプ、通年同じメンバーで学ぶタイプなどがあります。受講料は実施する学校により異なりますが、無料で受講できる講座もあります。ただし、ワークショップなどは材料費が必要となるケースがあります。
オープンカレッジの講座には定員が設けられているため、定員に達している場合は申込み期間内であっても参加が断られる可能性があります。事前にホームページなどで情報を確認するようにしましょう。
オープンカレッジの利用方法
オープンカレッジについての情報は、大学などのホームページに記載されています。一般の学生向けとは別に、オープンカレッジの専用ページが用意されていることが多く、講座の日時や内容などが告知されます。主な申込み方法は、専用の応募フォームやメール、はがき、電話などです。
よくある疑問とその答え
- オープンカレッジ参加にあたって、事前に大学や短期大学、専門学校などに電話やメールで相談に乗ってもらうことはできますか?
- 受講に関して不安なことがある場合は、事前に相談するようにしましょう。ただし、相談する際はオープンカレッジの募集要項に記載されている連絡先に確認したほうが、スムーズに対応してもらえるでしょう。
- 他の県にある大学などの講義も受講できますか?
- 「県内(市内)にお住まいの人が対象」などといった条件がなければ、参加できます。ただし、基本的にはお住まいの地域から通いやすい場所で受講するのがおすすめです。