障がい者本人による「本人活動」障がいのある人が自ら企画して勉強会などの活動を行う「本人活動」とは
動画でわかる「障がい者本人による「本人活動」」の概要
はじめに
近年、主に知的障がいや発達障がいのある人が勉強会やレクリエーションなどを自ら企画・運営する動きが広がってきています。こうした活動は「本人活動」、「本人勉強会」などと呼ばれており、全国各地で地域の特性を生かした活動が行われています。
この記事では、そんな本人活動の概要、活動条件、活動内容、活動方法、よくある疑問について紹介します。
本人活動とは
本人活動とは、障がいのある人が自ら企画・運営する諸活動のことをいいます。勉強会、余暇活動、スポーツ、レクリエーション、社会体験、ボランティア活動など、会によって活動内容は異なります。グループで活動することで社会参加や生涯学習などを実現しつつ、コミュニケーションスキルなどを高められるというメリットもあるとされています。
日本では、1956年に東京都墨田区に「すみだ青年教室」ができたのが本人活動の始まりとされており、この後に各地で障がい者青年教室が発足しました。1970年代には入所施設の利用者自治会ができ始め、1980年代には一部の「手をつなぐ育成会」で知的障がいのある人の活動が実施されるようになるなど、各地で本人活動が進められてきました。
本人活動の具体的な活動
本人活動の具体的な活動内容について、いくつかの例をご紹介します。
- 自分たちを取り巻く福祉制度や施策(例:障がい者年金、障がい福祉サービス)の勉強会および情報交換・共有
- ボーリングなどの運動、カラオケなどのレクリエーション
- 公共交通機関を活用しての小旅行といった余暇活動
- 気持ちを分かち合うミーティング(批判や説教などをせずに話す人の言葉に耳を傾けるミーティング)
- イベントごと(クリスマス会、季節に応じた旅行などのイベントなど)
- お互いの悩みごとなどを話し合う相談や情報提供の場としてのミーティング
- 広報、啓発活動(講演会の開催、パンフレット・広報誌の発行など)
- 政策提言(要望書の提出や、行政機関の会議の参加など)
>> かながわボランティアセンター セルフヘルプ・グループ活動
本人活動の種類
現在、日本には約200の本人活動団体があるとされています。多くの団体は「手をつなぐ育成会(手をつなぐ親の会)」や「ピープルファースト」のような、ある団体の一部門として活動していますが、独立型の団体もあります。近年ではインターネットやオンライン会議システムなどを積極的に活用しているグループもあるようです。
誰が活動できるのか
障がいのある人であれば活動に参加できます。本人活動について、全国手をつなぐ育成会連合会では「本人による、本人のための活動」と提言しており、活動するグループは20名以下の小規模なものから100名を超えるケースなど、さまざまです。
本人活動の活動条件
年齢、期間、活動費用などは、それぞれのグループ(本人活動の会)によって異なります。また、市町村によっては障がい者総合支援法の地域生活支援事業を活用し、本人活動を支援しているケースもあります。
国が示す地域生活支援事業の実施要綱では、本人たちによる会議・交流会等への支援、本人たちの力を高める学習会やセミナーなどへの支援、本人たちによるグループ活動への支援など、さまざま形での本人活動への支援内容が示されています。本人活動に対する支援の有無や内容については、お住まいの市町村の障がい福祉担当窓口で確認するようにしましょう。
本人活動の活動方法
本人の会を作って活動する際は、信頼できる支援者や支援団体を見つけ、一緒に活動内容を考えていくことが重要になります。本人活動の支援者として参加する場合は、そのグループに直接コンタクトをとったり、事前に市町村や社会福祉協議会へ相談したりすることから始めましょう。活動を支援する場合は、会の事前準備支援や会の進行サポート、内容まとめの支援などを行います。
本人活動を行う際は活動を手伝う支援者がいることで、活動を続けやすくなります。ただし、本人活動においては、あくまで障がいのある人が決定権を持ち、支援者は決定権を持たないという原則があります。本人活動を支援する際には、この原則を忘れないことが大切です。
よくある疑問とその答え
- 本人活動を立ち上げるときは、どうすればいいですか?
- まずは、お住まいの地域で本人活動支援事業が行われているか、ホームページや自治体の窓口などで確認してみましょう。同様の活動を行っている会などがあれば、具体的な情報を教えてもらえます。また、お住まいの地域に手をつなぐ育成会(手をつなぐ親の会)があれば、本人活動の状況について問い合わせてみるのも良いでしょう。
- 本人活動はどんな場所で行うことができますか?
- 場所については特に決まりはありません。本人活動に関する話し合いなどで会議室が必要な場合には、福祉センターや市民センター、ボランティアセンターなどの場所がおすすめです。会場の予約などは、書類の準備等が複雑なことが多いため、手伝ってくれる支援者がいると良いでしょう。