動画でわかる障がい者福祉制度・サービス

入所系の主なサービス施設に入所して介護を受ける、入所系の介護サービスとは

動画でわかる「入所系の主なサービス」の概要

はじめにはじめに

40歳以上で要介護または要支援の状態と認定された人は、介護保険制度の対象となり、必要な介護サービスを使うことができます。

介護サービスの中には、施設に入所して介護を受けるサービス(入所系サービス)があり、食事やお風呂などの介助など、日常生活に必要な介護を受けながら生活する場を提供しています。また、中には介護保険制度とは別に、高齢者向けに配慮された住居を提供するサービスもあります。

ここでは、入所系の主なサービスの内容、対象、利用できる期間、利用までの流れ、よくある疑問について説明します。

01入所系の主なサービスとは

介護サービスには、大きく分けると入所系・通所系・訪問系の3つのタイプがあります。入所系のサービスとは、主に介護施設などへ入所し、必要な介護を受けるサービスのことをいいます。

各施設で受けられるサービスの内容は、食事・お風呂・トイレなどの介護のほか、在宅生活への復帰を見据えた際に必要となるリハビリテーション(身体機能を回復するための訓練)など、施設の位置付けや利用者の状態に応じて異なります。

入所系のサービスが受けられる主な施設は、以下のとおりです。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設(老健施設)
  • 介護医療院
  • 介護療養型医療施設
  • 認知症対応型共同生活介護(認知症対応グループホーム)
  • 有料老人ホーム(介護保険外)
  • サービス付き高齢者向け住宅(介護保険外)など

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人福祉施設とは、生活全般の介護を提供する施設のことです。日常生活において常に介護が必要な人を受け入れており、食事、お風呂、身体機能を維持回復するための訓練、療養上の援助などを提供しています。

介護老人保健施設(老健施設)

介護老人保健施設とは、医師による医療的指導のもとで、介護からリハビリテーションまで提供する施設のことです。特別養護老人ホームは介護や日常生活の支援などを提供していますが、老健施設は原則として在宅復帰と在宅療養支援を目的としています。

介護医療院

介護医療院とは、介護と医療的な管理を提供する施設です。医師による管理のもと、介護や機能訓練、医療的なケアなどを行い、療養生活と日常生活をサポートします。このサービスについては、医療機関において提供されます。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、常時の医療的なケアを必要とする要介護高齢者のための施設です。療養病棟がある病院または診療所に設置され、療養上の管理、看護、生活全般のサポート、機能訓練などを提供します。

介護医療院と介護医療型医療施設は特徴が似ていますが、介護医療院はあくまで生活施設の扱いであるのに対し、介護医療型医療施設は医療を中心とした医療施設の扱いという違いがあります。

認知症対応型共同生活介護(認知症対応グループホーム)

認知症対応型共同生活介護とは、認知症のある要介護高齢者が入所する介護施設です。5~9人の少人数グループで、介護スタッフとともに共同生活を送ります。食事、お風呂、トイレなどの日常生活に必要な介護や、機能訓練などを提供しています。地域の中に溶け込み、アットホームな環境を提供しやすいのが、この施設の特徴です。

有料老人ホーム

有料老人ホームは、高齢者を対象とした有料の住宅のことです。有料老人ホームは種類がたくさんあり、介護付きの有料老人ホームだけでなく、居室の提供と食事提供など生活援助がメインの有料老人ホームなどもあります。

介護付き有料老人ホームの場合は、施設のスタッフが24時間体制で介護を行う「一般型」と、介護サービスを外部の事業者が行う「外部サービス利用型」の2種類に分かれます。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者を対象とした賃貸住宅です。サービス内容は安否確認や生活相談などがメインですが、中には訪問介護や通所介護のサービスを一体的に提供している住宅もあります。

介護サービスの事業所として認定を受けている場合は介護に関する費用に保険が適用できますが、認定を受けていない場合は全額自己負担額となります。

短期入所生活介護(ショートステイ)

これまで紹介してきた、特別養護老人ホーム、介護医療院、有料老人ホームなどでは、短期間の入所を受け入れていることがあります。これを「短期入所生活介護(ショートステイ)」と呼びます。ショートステイをうまく使うことで、介護をする家族が自分の時間を持てるなど、介護の負担を軽減できるというメリットがあります。

昼間だけでなく夜間の介護も提供しており、30日以内であれば、たとえば10泊以上のまとまった期間でも利用できます。

障がいのある人と入所系サービス

入所系サービスについては、ここまで紹介した「介護保険サービス」のほか、18歳以上の障がい者が利用する「障がい福祉サービス」があります。障がいのある人が65歳になるときには、障がい福祉サービスよりも介護保険サービスの利用が優先され、ルールに従ってどちらのサービスを利用するか決めることになります。

障がいのある人が入所系サービスを利用する際に知っておきたい主なポイントは、概ね以下のとおりです。

  1. 障がい者入所施設で暮らしている人は、介護保険料を支払っていないため、介護保険サービスを使うことができません。よって、65歳以上になっても、そのまま障がい者入所施設を利用することになります。ただし、介護度が重くなり、障がい者入所施設で対応が難しくなった場合には、介護保険サービスの入所系サービスへ移るケースもあります。
  2. 自宅やグループホームで暮らしている人は、65歳以上で介護度が重くなった場合は、原則として介護保険の入所系サービスを使うことになります。ただし、グループホームについては介護保険制度が「認知症」のみ対応となっているため、認知症ではない障がい者がグループホームの利用を希望する場合には、介護サービスのグループホームは利用できませんので、障がい者グループホームを利用することも可能です。
  3. 入所系サービスのうち、特別養護老人ホームについては、障がいのある人への対応として、知的障がいや視覚障がいなどを対象とした加算が設定されており、積極的に障がいのある人を受け入れている特別養護老人ホームもあります。逆に、障がい者入所施設で高齢障がい者の生活を支えているケースもあります。

02誰が利用できるのか

入所系サービスのうち、特別養護老人ホームについては、基本的に要介護3以上の人が対象になります。介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院は、要介護1~5の人が対象で、その他有料老人ホームは、自立している人から要介護5まで、施設のサービス内容によって対象者が異なります。

認知症対応グループホームについては、要介護1~5の人と、要支援2の人が利用できます。
小規模で地域密着型の老人ホームなどは、住民票のある住所地でないと利用できないケースもあります。

03利用できる期間・年齢

入所系の介護サービスを利用できるのは、一部の例外を除き、40歳以上で要介護と判定された人です。施設によっては終身利用できる場合もありますが、利用期間や年齢などの条件は、各施設により異なります。

施設ごとの利用可能期間の例

  • 特別養護老人ホーム
    65歳以上。終身利用可。
  • 介護医療院
    65歳以上。終身利用可。
  • 介護療養型医療施設
    65歳以上。症状が改善するまで。
  • 認知症対応グループホーム
    65歳以上。利用期間は施設によって異なる。
  • 有料老人ホーム
    65歳以上。利用期間は施設によって異なる。
  • サービス付き高齢者住宅
    60歳以上。利用期間は施設によって異なる。

※原則65歳以上とする施設が多いものの、介護が必要と判定されれば40歳から利用可能となる施設もある

03どうすれば利用できるのか

介護保険制度を利用して介護サービスを受けるためには、要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。サービスを利用するまでの流れは、こちらのページを参照してください。

サービスを利用するときは、要介護認定を受けた後で、入所したい施設に申し込みをします。特別養護老人ホームについては、要介護度や家族の状況などを配慮し、必要性が高い人から順番に入所するのが一般的です。

介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院は、直接施設に問合せをして入所の相談をしますが、施設数や定員には限りがありますので、すぐに入所できるとは限りません。

民間の有料老人ホームやサービス付高齢者住宅は数も比較的多いので、施設を見学し、希望通りの介護が受けられるかよく確認して検討しましょう。介護保険外施設に関しては、要介護認定なしで利用できるケースもあります。

申請に必要な書類

介護サービスを利用する際に必要となる書類は、こちらのページを参照してください。

よくある疑問とその答えよくある疑問とその答え

  • question
  • 入所系サービスを利用する場合、費用はどれくらいかかりますか?
  • question
  • 介護保険サービス全体の利用者負担はこちらを参照してください。介護度によってサービスの報酬単価が異なり、一般的には介護度が高くなると報酬単価(利用者負担)が増える仕組みになっています。それ以外にも、部屋代や食費、クリーニング代やレクリエーション費用などの実費負担がかかります。
    介護保険外施設は介護度などで利用料が異なり、たとえば介護付き有料老人ホームは月額22.7万円が平均ですが、介護度が低い場合はもっと安いケースもあります。具体的な金額については、各施設に問合せる必要があります。多くの場合、障がい者入所施設よりも介護保険の入所系サービスの方が、自己負担額が高くなります。
  • question
  • 希望する施設への入所ができない場合や、入所待ちと言われた場合はどうしたらいいですか?
  • question
  • 特別養護老人ホームは、待機者数が多い傾向があります。入所までに時間がかかる場合は、まず地域包括支援センターへ相談し、他に入所できる施設がないか、ショートステイできる施設がないかなどを相談し、探してもらいましょう。費用は高くなりますが、民間の有料老人ホームで空きがある場合は、検討してみるのもいいでしょう。