共生型サービス高齢者と障がい者が同じ事業所で支援を受けられる制度「共生型サービス」とは
動画でわかる「共生型サービス」の概要
はじめに
障がいのある人も高齢になるにしたがって介護保険サービスを利用するケースが増えていきますが、通い慣れた事業所に今後も通い続けたいという希望も多く聞かれます。高齢の人も、障がいのある人も、同じ事業所で介護サービスを受けられるように創設されたのが、「共生型サービス(共生型類型)」です。
ここでは、共生型サービスの内容、対象、利用できる期間、利用までの流れ、よくある疑問について説明します。
共生型サービスとは
障がい福祉サービスは、障がい者総合支援法に基づき、障がいのある人を対象としたサービスです。居宅介護や生活介護、短期入所などのサービスは「介護給付」と呼ばれ、介護が必要な障がい者をサポートします。
一方、原則65歳以上(条件を満たす場合は40歳以上)の人が利用できるのが、介護保険サービスです。訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームや短期入所生活介護などが代表的です。
障がい福祉サービスと介護保険サービスには、生活介護とデイサービスのように類似するサービスがあり、介護保険サービスを優先して利用することになっています。
2018年の障がい者総合支援法と介護保険法の改正によって、障がい福祉サービスと介護保険サービスを同じ事業所で提供しやすくなりました。これが、「共生型サービス」です。共生型サービスが制度化されたことで、下記のことが可能となっています。
- 障がい福祉サービスの事業所が、介護保険サービスを提供することができる
- 介護保険サービスの事業所が、障がい福祉サービスを提供することができる
- 65歳以上の障がいのある人は、それまで利用していた障がい福祉サービス事業所が共生型サービスを選択すれば、同じ事業所で実施する介護保険サービスへ移行が可能となり、同じ事業所へ通い続けることができる
- 障がい者も高齢者も、利用できる福祉サービスの選択肢が増える
対象となるサービス
共生型サービスの対象となるサービスは、介護保険制度と障がい福祉制度の両方に共通・類似するサービスです。具体的には、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイに相当するサービスとなります。
介護保険事業所が併設できる障がい福祉サービスの例
- 居宅介護
- 生活介護
- 自立訓練
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 短期入所 など
障がい福祉事業所が併設できる介護保険サービスの例
- 訪問介護(介護予防訪問介護も含む)
- 通所介護(介護予防通所介護も含む)
- 短期入所生活介護(ショートステイ) など
(厚生労働省の資料をもとに作成)
誰が利用できるのか
共生型サービスを利用できるのは、介護保険サービスの利用者、および障がい福祉サービスを利用する障がい者です。介護保険サービスの対象となる人は、こちらをご覧ください。
障がい福祉サービスの対象者は、身体・知的・発達・精神・高次脳機能障がいのある人や、障がい者総合支援法で指定されている難病がある人です。障がい福祉サービスの対象となる人はこちらをご覧ください。
利用できる期間・年齢
共生型サービスの利用期間や年齢は、サービス内容によって異なります。
共生型サービスは事業所における福祉サービスの実施方法に関する特例ですので、それぞれのサービスに関する利用期間や年齢には影響しません。障がい児福祉サービス(児童発達支援・放課後等デイサービス)であれば17歳までの障がい児が対象となり、障がい福祉サービス(居宅介護・生活介護・自立訓練・短期入所)であれば18歳から64歳までの障がい者が対象となります。
介護保険サービス(訪問介護・通所介護・短期入所生活介護など)については、65歳以上の要介護(要支援)認定を受けた人が利用できます。介護保険サービスは、介護度や利用目的などによって制限がある場合もありますので、障がい福祉窓口や地域のケアマネージャーなどに確認しましょう。
どうすれば利用できるのか
共生型サービスは、介護保険サービスの枠組みで利用する場合と、障がい福祉サービスの枠組みで利用する場合に分かれます。
- 障がい福祉サービスの事業所に介護保険サービスが併設されている場合
→ 介護保険サービスの枠組みで利用 - 介護保険サービスの事業所に障がい福祉サービスが併設されている場合
→ 障がい福祉サービスの枠組みで利用
介護保険サービスの枠組みの利用方法
共生型の介護保険サービスを利用するためには、要介護(要支援)認定を受ける必要があります。具体的な手続きの方法と流れは、こちらをご覧ください。
要介護(要支援)認定を受けた後は、ケアマネージャーが紹介する事業所の中から、利用する事業所を選びます。利用したい事業所が決まったら、事業所と契約を結び、サービス内容や開始日などを決めます。
障がい福祉サービスの枠組みの利用方法
障がい福祉サービスを利用する際の主な流れは、こちらをご覧ください。
利用申請から受給者証の受け取りまでは、最大で2か月ほどかかります。事業所と利用の契約をする際には、受給者証が必ず必要になります。
市町村の障がい福祉窓口へ行き「居宅介護を利用したいです」など、利用したいサービスを伝えましょう。申請に必要な書類なども教えてもらえます。
よくある疑問とその答え
- 共生型サービスは、どの事業所でも受けられますか?
- 共生型サービスを実施するためには、事業所登録などの行政手続きが必要になります。請求事務も制度ごとに行う事務負担もあるほか、報酬水準が低いなどの課題が多く、まだ対応していない事業所も多くあります。利用する事業所を探す際には、担当の相談支援専門員やケアマネージャーによく相談しましょう。
- 共生型サービスを利用する際の料金はどれくらいかかりますか?
- 介護保険サービスを利用するのか、障がい福祉サービスを利用するのかによって、利用料は大きく異なります。共生型の介護保険サービスを利用する場合、利用者負担は「1割」となります。障がい福祉サービスの利用者負担は比較的安く、住民税がゼロの場合は利用者負担もゼロとなります。
料金については、サービスを利用する前に、必ず事業所に確認しましょう。また、実費負担となる利用料金は、各事業所の提示する金額・条件に従うことになります。