共同生活援助(グループホーム)地域で暮らす障がい者のための共同生活援助(グループホーム)とは
動画でわかる「共同生活援助(グループホーム)」の概要
はじめに
一軒家やアパートなどに障がいのある人が集まって一緒に暮らしながら、生活に必要な支援を受けるのが「共同生活援助」というサービスです。「グループホーム」とも呼ばれています。
「共同生活援助」のサービスの内容、対象、利用できる期間、利用までの流れ、よくある疑問について詳しく説明します。
共同生活援助(グループホーム)とは
共同生活援助(グループホーム)とは、障がいのある人が一軒家やアパートなどに定員10人以下で共同生活をするサービスです。「世話人」や「支援員」と呼ばれる職員が利用者の食事の用意やお風呂、トイレなど介助といった日常生活上の援助を提供します。
グループホームには4つの種類があり、「介護サービス包括型」「外部サービス利用型」「日中サービス支援型」「サテライト型(ひとり暮らし)」というタイプに分かれています。それぞれのサービスの主な内容は以下の通りです。
介護サービス包括型
「介護サービス包括型」は、食事の用意やお風呂、トイレの介助などの生活支援をグループホームの職員が提供します。障がい支援区分が「4 / 5 / 6」などの障がいが重い人が利用する傾向があります。
サービスの主な内容
グループホームの従業員によって、主に夜間や休日に次のような支援が提供されます。
- 1. お風呂、トイレ、食事等の介護
- 2. 調理、洗濯、掃除等の家事
- 3. 日常生活・社会生活上の相談及び助言
- 4. 就労先やその他の関係機関との連絡
- 5. その他の日常生活上の援助
(厚生労働省資料を元に作成)
外部サービス利用型
「外部サービス利用型」は、食事の用意やお風呂、トイレの介助などの生活支援をグループホームの職員だけで行うのではなく、外部のヘルパー事業所などから派遣された職員も交えて対応します。障がい支援区分が「1 / 2 / 3」などの障がいが軽い人が利用する傾向があります。
サービスの主な内容
グループホームの従業員によって、主に夜間や休日に次のような支援が提供されます。
- 1. 調理、洗濯、掃除等の家事
- 2. 日常生活・社会生活上の相談及び助言
- 3. 就労先やその他の関係機関との連絡
- 4. その他の日常生活上の援助
お風呂、トイレ、食事等の介護については、外部の指定居宅介護事業者が提供
(厚生労働省資料を元に作成)
日中サービス支援型
「介護サービス包括型」「外部サービス利用型」は夜間や休日を過ごすタイプのグループホームですが、「日中サービス支援型」は日中の時間帯もグループホームで過ごすことができるタイプのグループホームです。2018年に制度化されました。
このタイプを利用するのは、重度の障がいのある人や高齢になった障がいのある人です。利用者の障がい状況や体調などにあわせた支援を行うため、グループホームに配置される世話人や支援員の人数が手厚くなっています。
サービスの主な内容
グループホームの従業員によって、次のような支援が提供されます。
- 1. お風呂、トイレ、食事等の介護
- 2. 調理、洗濯、掃除等の家事
- 3. 日常生活・社会生活上の相談及び助言
- 4. 就労先やその他の関係機関との連絡
- 5. その他の日常生活上の援助
(厚生労働省資料を元に作成)
サテライト型(ひとり暮らし)
「サテライト型」は、グループホームの近くにあるワンルームマンションなどで障がいのある人が一人暮らしをするタイプです。グループホームを「本体」として、ワンルームマンションなどを「出先」と位置付けています。外見上は一人暮らしですが、必要に応じてグループホームの世話人や支援員からの支援を受けることができます。
このタイプは、グループホームを出て一人暮らしを目指す中・軽度障がいの人が利用する傾向があります。利用できる期間は原則として2年間です。
サービスの主な内容
グループホームの従業員によって、次のような支援が提供されます。
- 1. お風呂、トイレ、食事等の介護
- 2. 調理、洗濯、掃除等の家事
- 3. 日常生活・社会生活上の相談及び助言
- 4. 就労先やその他の関係機関との連絡
- 5. その他の日常生活上の援助
(厚生労働省資料を元に作成)
共同生活援助のサービスは、障がい者総合支援法の「訓練等給付」という区分に含まれるサービスで、利用のルールは国が定めています。「訓練等給付」とは、会社で働きたい人や地域で独立生活するために力をつけたい人が使うサービスを指します。
誰が利用できるのか
グループホームを利用できるのは、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者(発達障がい者)、難病患者等です。原則として18歳以上でないと利用できませんが、15歳以上の障がい児も、児童相談所長が必要性を認めた場合には利用できます。また、身体障がい者の場合には65歳未満か、65歳になるまでの間に障がい福祉サービスを利用していた人に限られます。
グループホームは障がい者総合支援法の対象であれば誰でも利用できますが、障がい支援区分によって世話人や支援員の配置基準が変わります。なので、原則として支援区分の判定を受けることになっています。
障がい支援区分とは?
障がい支援区分は「非該当 / 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 」の7段階に分かれています。最も支援が必要な人が「6」になり、数字が小さいほど支援の必要性が低いという判定です。介護給付については、障がい者手帳の等級ではなく、障がい支援区分の判定結果によって、サービスが利用できるかどうかが決まります。
対象者
身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、難病患者などです。
「日中サービス支援型」は常時介護が必要な人が対象です。なお、身体障がい者にあっては、65歳未満の者又は65歳に達する日の前日までに障がい福祉サービス若しくはこれに準ずるものを利用したことがある人に限ります。
(厚生労働省資料を元に作成)
利用できる期間・年齢
共同生活援助のサービスは3年ごとの更新が必要ですが、利用年齢の制限はありません。
ただし、65歳以降は障がい福祉サービスではなく介護保険制度を利用することが基本となります。グループホームは介護保険制度にも存在しますが、認知症でないと利用することができません。そのため、認知症の診断が出ていない場合には、65歳以降も障がい者のグループホームを利用できます。
どうすれば利用できるのか
障がい福祉サービスには、大きく「介護給付」「訓練等給付」「地域生活支援事業」の3種類があり、グループホームは「訓練等給付」になります。
>> サービスの種類と区分
訓練等給付を利用するためには「サービスの利用申請」「サービス等利用計画の作成」「市町村の支給決定と受給者証の受け取り」という3つの手続きに加え、「障がい支援区分の判定」をすすめる必要があります。この手続きには最大で1ヶ月ほどかかります。
受給者証(決定通知)を受け取れば、自動的にサービスが使えるわけではありません。受給者証を持って、使いたい障がい福祉サービスを提供している事業所と利用の契約を交わす必要があります。
事業所を訪ねて雰囲気を確認したり、どんな風にサービスを受けられるのか話を聞いたりしてから、自分が利用したい事業所を選びましょう。事業所と契約をするときには、受給者証を忘れずに。
- 福祉の窓口に行って「グループホームを利用したいです」と伝えてください。すでに相談支援とつながっていたら、担当する相談支援専門員さんに相談すれば申請のための書類を作ってくれます。
よくある疑問とその答え
- グループホームで暮らすためには家賃が必要ですか?
- 自分の部屋の分の家賃を払わなければなりません。ただし、住民税が0円になるほど収入が少ない人は家賃の補助を受けることができます。国からの補助は月1万円です。それ以外にも家賃補助を出してくれる地域もあります。
- グループホームを出て、ひとり暮らしをしたいと思っていますが難しいでしょうか?
- 「サテライト型」と呼ばれる方法があります。グループホームの近くに部屋を借りて、職員から支援を受けながらひとり暮らしをすることができます。ただし、使える期間は2年間くらいです。