施設入所支援夜間や休日の介護と生活に関する相談や助言を提供する「施設入所支援」
動画でわかる「施設入所支援」の概要
はじめに
障がい者支援施設(入所施設)で暮らす重度障がいのある人に対して、夜間や休日の介護などを提供するのが「施設入所支援」というサービスです。ここでの重度障がいとは、障がい支援区分の判定結果が「4」以上の人を指しています。
「施設入所支援」のサービスの内容、対象、利用できる期間、利用までの流れ、よくある疑問について詳しく説明します。
施設入所支援とは
施設入所支援とは、障がい者支援施設の入所者に対して夜間や休日のお風呂やトイレ、食事の介護や健康管理、生活に関する相談や助言などを提供するサービスです。
サービスの主な内容
生活介護、自立訓練または就労移行支援などの対象者に対して日中活動とあわせて夜間を中心とする次のサービスを提供します。
- 1. 居住の場の提供
- 2. お風呂、トイレ、食事、着替えなどの介助
- 3. 食事の提供
- 4. 生活等に関する相談、助言
- 5. 健康管理
(厚生労働省資料を元に作成)
施設入所支援は、障がい者総合支援法の「介護給付」という区分に含まれるサービスで、利用のルールは国が定めています。「介護給付」とは、日常生活におけるさまざまな介護や援助を必要とする人が使うサービスを指します。
>> サービスの種類と区分
誰が利用できるのか
施設入所支援を利用できるのは、原則として18歳以上で障がい支援区分「4以上」の人です。ただし、50歳以上の場合は支援区分が「3以上」であれば利用できます。
障がい支援区分とは?
障がい支援区分は「非該当 / 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 」の7段階に分かれています。最も支援が必要な人が「6」になり、数字が小さいほど支援の必要性が低いという判定です。介護給付については、障がい者手帳の等級ではなく、障がい支援区分の判定結果によって、サービスが利用できるかどうかが決まります。
対象者
次の項目のいずれかに該当する人が利用できます。
- 1. 生活介護を受けている人であって障がい支援区分が区分「4」以上である人。(50歳以上の者にあっては区分「3」以上)
- 2. 自立訓練、就労移行支援または就労継続支援B型の利用者のうち、入所させながら訓練等を実施することが必要かつ効果的であると認められる人。または通所によって訓練を受けることが困難な人
- 3. 特定旧法指定施設に入所していた人であって継続して入所している人。または、地域における障がい福祉サービスの提供体制の状況その他やむを得ない事情により通所によって介護等を受けることが困難な人のうち、(1)または(2)に該当しない人。もしくは就労継続支援A型を利用する人
- 4. 平成24年4月の改正児童福祉法の施行の際に障がい児施設(指定医療機関を含む)に入所していた人であって継続して入所している人
(厚生労働省資料を元に作成)
利用できる期間・年齢
施設入所支援のサービスは3年ごとの更新ですが、利用年齢の制限はありません。
65歳以降は、障がい福祉サービスではなく介護保険制度を利用することが基本となります。介護保険制度には施設入所支援と同じサービスはありませんが、特別養護老人ホームなどの障がい者支援施設(入所施設)はあります。65歳以降も施設入所支援の障がい福祉サービスを利用できるかどうかは、市町村の判断となります。
どうすれば利用できるのか
施設入所支援を利用するためには、まずは市町村の障がい福祉の窓口に相談をしましょう。
障がい福祉サービスには、大きく「介護給付」「訓練等給付」「地域生活支援事業」の3種類があり、施設入所支援は「介護給付」になります。
>> サービスの種類と区分
介護給付を利用するためには「サービスの利用申請」「障がい支援区分の判定」「サービス等利用計画の作成」「市町村の支給決定と受給者証の受け取り」という4つの手続きをすすめる必要があります。この手続きには最大で2ヶ月ほどかかります。
受給者証(決定通知)を受け取れば、自動的にサービスが使えるわけではありません。受給者証を持って、使いたい障がい福祉サービスを提供している施設や事業所と利用の契約を交わす必要があります。契約をするときは受給者証を忘れずに持参してください。
- 福祉の窓口に行って「施設への入所を考えています。施設入所支援のサービスを使いたいです」と伝えてください。すでに相談支援とつながっていたら、担当する相談支援専門員さんに相談をすれば申請のための書類を作ってくれます。
よくある疑問とその答え
- 障がい支援区分が「1」や「2」の人は絶対に施設入所できないのでしょうか?
- やむを得ない事情がある場合は使えることもあります。その場合、相談支援事業所がサービス等利用計画を作って「なぜ必要なのか」を明らかにすることになっています。
- 介護と医療的ケアが必要な重度の障がい者も「施設入所支援」が使えますか?
- 医療的なケアを必要とする支援区分「5」以上の重度障がい者には、さまざまな医療ケアも提供できる「療養介護」というサービスがあります。まずは市町村の福祉の窓口に相談してください。