動画でわかる障がい者福祉制度・サービス

障がい者雇用促進法(合理的配慮)障がい者の雇用を増やし、雇用のルールを定めた「障がい者雇用促進法(合理的配慮)」とは

動画でわかる「障がい者雇用促進法(合理的配慮)」の概要

はじめにはじめに

「障がい者雇用促進法」は、障がい者が自分の力を発揮し、安心して働くことができるよう、会社(雇用主)が守るべきルールについて定めた法律です。障がい者の雇用が安定するように、働きやすい環境を会社が整えることが主な目的とされています。

「障がい者雇用促進法」の内容、対象、利用できる期間、利用までの流れ、よくある疑問について詳しく説明します。

01障がい者雇用促進法(合理的配慮)とは

「障がい者雇用促進法」とは、障がい者の雇用が安定することを目的とする法律です。

法律の主な内容

「障がい者雇用促進法」の主な内容は次の3つになります。

  • 1. 障がい者を会社が受け入れる「雇用義務制度」
  • 2. 障がい者に対して職業訓練や職業紹介などを行う「職業リハビリテーションの促進」
  • 3. 障がい者に対する職業上の「差別禁止」や「合理的配慮」の提供

(厚生労働省資料を元に作成)

ここでは、特に「合理的配慮」を取り上げます。

2016年4月に新たに法律の中に追加された「合理的配慮」の提供は会社の義務とされており、障がい者を採用する時や会社で勤務をする時に、障がいの特性によって採用試験や仕事の進め方、内容などを工夫するよう義務付けています。具体例は、以下のようなものです。

  • ・採用時の面接を筆談で行う(主に聴覚障がい者向けの配慮)
  • ・仕事の指示書を文字だけでなく写真、イラストを用いて視覚的に理解しやすくする(主に知的・発達障がい者向けの配慮)
  • ・車いす利用者に対して机や作業台の高さを調整する(主に肢体不自由者向けの配慮)
  • ・体調に合わせて小まめな休憩を認める(主に精神障がい者向けの配慮)
合理的配慮

会社と雇用契約を結ぶ「一般就労」や「特例子会社」といった働き方では、この障がい者雇用促進法の合理的配慮が適用されます。

02誰が利用できるのか

障がい者雇用促進法は、身体障がい者・知的障がい者・発達障がいや精神障がい者などが対象となります。障がい者手帳が認定されない軽度障がいの人でも、長時間の仕事をすることに制限があると認められた人なども対象となります。

逆に、何らかの疾患があっても仕事をすることが可能な人は、対象外となる場合があります。

03利用できる期間・年齢

障がい者雇用促進法に利用期間の制限はありません。利用年齢については、20歳未満の未成年の場合、労働基準法で定められている保護規定により、労働時間や仕事の内容に制限が設けられていることがあります。2022年4月からは成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられますので、その点にも注意しましょう。また特に法律上の年齢上限はありませんが、会社ごとに定年退職の年齢が異なるため、あらかじめ確認しておくようにしましょう。体力の衰えなどによって会社を早期退職する場合も同じです。

障がい者雇用促進法

03どうすれば利用できるのか

障がい者雇用促進法を活用して仕事を探したり合理的配慮を希望したりするときには、以下の場所で相談することができます。合理的配慮に関する相談窓口は、地域のハローワークとなります。

・地域のハローワーク
・地域障がい者職業センター
・障がい者就業・生活支援センター

「働きたいけれど、何から始めていいのかわからない」という場合、まずハローワークや障がい者就業・生活支援センターで相談してみましょう。ハローワークでは、主に職業の紹介や就職支援などを行っています。希望すれば、職業訓練校の紹介など、各種サポートを受けることができます。また、職場での合理的配慮に関する相談にも対応しています。

働くための職業能力評価や仕事をするための訓練を受けたい場合は、地域障がい者職業センターで相談してみましょう。障がいの特性を相談しながら、どんな仕事をすることができるか、何を学ぶ必要があるかなどのアドバイスを受けることができます。

仕事のことだけでなく、仕事をしていく上での生活に関する悩みもある場合には、障がい者就業・生活支援センターに相談することで必要な支援を受けられます。

よくある疑問とその答えよくある疑問とその答え

  • question
  • 知的障がいや発達障がいに対する職場での合理的配慮には、どのようなものがありますか?
  • question
  • 知的障がい者には、面接時にゆっくり、かつはっきり話したり、コミュニケーションボードを使ってわかりやすく説明したりします。職場での意思疎通がスムーズになるよう、資料をわかりやすく簡潔な文章で作成する、写真やイラストなどを活用する、漢字にふりがなつけるなどの配慮もあります。
    発達障がい者でさまざまな感覚過敏を抱えている場合には、防音イヤーマフを用意する、部屋を仕切るなど過敏さを和らげるための対応を行います。また、作業方法や物の置き方にこだわりがある場合は、できる限りその方法に沿った形で業務を進めるようにします。読み書きが困難な場合はタブレットを使うなど、障がい特性に合わせて対応します。
  • question
  • 合理的配慮は、働き始めないと受けられないのですか?
  • question
  • 障がい者雇用促進法における合理的配慮は、働き始めてからだけでなく、採用段階から義務付けられています。障がいの特性によって文字の認識に多くの時間が必要な場合に採用試験の時間を延ばすなど、必要な配慮があれば相談してみましょう。
  • question
  • 合理的配慮が受けられない時には、どこへ相談すれば良いですか?
  • question
  • 勤務している会社で合理的配慮が受けられなかった場合は、国や地域の相談窓口で相談することができます。まずは住んでいる地域のハローワークに相談しましょう。また、市町村の障がい福祉担当部署でも相談することができます。必要に応じて、会社に対する指導助言といった対応を行ってくれます。