動画でわかる障がい者福祉制度・サービス

障がい者職業能力開発校障がいがある人を対象に、就職のための職業訓練を行う「障がい者職業能力開発校」とは

動画でわかる「障がい者職業能力開発校」の概要

はじめにはじめに

障がいのある人がこれから働こうと思った時、以下のような悩みを抱えていることがあります。

・しっかりと仕事ができるか不安
・働くための知識やスキルが足りない
・働くまでのながれや段取りが分からない

こうした悩みを感じている人は、「障がい者職業能力開発校」へ通い、仕事をするための準備をすることができます。「障がい者職業能力開発校」は、国によって設置されている障がいがある人のための職業訓練施設です。

「障がい者職業能力開発校」の内容、対象、利用できる期間と年齢、利用までの流れ、よくある疑問について詳しく説明します。

01障がい者職業能力開発校とは

障がい者職業能力開発校とは、障がいのある人がそれぞれの障がい特性を踏まえて仕事することができるよう、職業訓練を通じて就職に向けて準備する場所です。仕事に必要な技術や知識を学び、職場の一員として働くことをめざします。

障がいがある人の雇用促進につながるよう、障がい者雇用促進法に基づいて国が設置して都道府県が運営しているほか、都道府県立の障がい者職業能力開発校もあります。

障がい者職業能力開発校では、さまざまな仕事に関する情報提供を行うほか、仕事で必要となる知識や技術について学ぶことができます。訓練終了後は働く場所を紹介し、働き始めてからも、実際に職場で困っていることはないか、相談をすることができます。ただし、障がい者職業能力開発校は、全国すべての地域にあるわけではありません。

障がい者職業能力開発校に設置されているコースの例

  • ・就業支援科……対人コミュニケーションや疑似体験(ロールプレイ)など、社会生活に必要なスキルを学び、調理実習、清掃作業、事務作業などを体験しながら仕事に必要な技術を習得します。
  • ・ものづくり技術科……技術スタッフとして働くための図面の読み方、工業製品などに使用される材料の知識、機械の仕組み、製造方法などの基本的な知識について学びます。
  • ・総合実務科……商品の袋詰め、メールの仕分け、接客サービスの方法、調理器具の使い方など、実務に求められるスキルについて学びます。

(厚生労働省資料を元に作成)

設置されているコースは、学校によって異なります。どのような職業に就きたいのか、どんな仕事をすることができるのかという進路の希望などが浮かんだら、まずはお住まいの地域に設置されている障がい者職業能力開発校に相談してみましょう。

02誰が利用できるのか

障がい者職業能力開発校は、障がいがあり、仕事をするために必要な知識・技術・技能を習得したい人や、働く意思がある人が利用することができます。ただし、集団生活での訓練に適応できることが条件となります。

障がいの有無は、基本的に障がい者手帳で確認します。身体障がい者手帳、療育手帳(愛の手帳、みどりの手帳、愛護手帳)精神障がい者保健福祉手帳を持っている人は対象となります。
そのほか、総合失調症・そううつ病・てんかんの診断を医師から受けている人も対象となります。

発達障がい、高次脳機能障がい、その他の障がいのある人や難病の人は、受験資格を満たしているかどうか、訓練を希望する学校へ事前に確認するようにしましょう。障がい者職業能力開発校の受験資格や条件は、学校によって異なります。

03利用できる期間・年齢

障がい者職業能力開発校を利用できる期間は、コースや科によって異なります。一般的には普通課程で1年間のコースが一般的ですが、3カ月~1年未満のコースも用意されています。また、コースや科によって対象者が異なります。身体障がいのある人のみを対象としたコースや、知的障がいや重度視覚障がいのある人など、障がいの特性に合わせてコースが設定されています。

年齢制限はコースや科によって異なりますが、18歳以上、もしくは中学卒業以上の人を対象としていることが多いです。

03どうすれば利用できるのか

障がい者職業能力開発校に入学するためには、お住まいの地域のハローワークを通して申し込みをします。「入校申込書」もしくは「入校願書」という応募書類をハローワークへ提出し、審査に通過すれば訓練を受けることができます。申込書の他にも、写真や必要書類などがあります。



申込みに必要な物

  • ・入校申込書(3カ月以内に撮影した写真を貼って提出します)
  • ・診断書(医者による診断書の記載が必要になります。職業訓練を受ける上で配慮が必要な場合は、その内容についても記載してもらいましょう)
  • ・身体障がい者手帳、療育手帳(愛の手帳、みどりの手帳、愛護手帳)、精神障がい者保健福祉手帳の写し
  • ・調査書(中学・高校・特別支援学校を新規に卒業した応募者のみ、必要となる場合があります)

応募期間、選考日、合格発表日は学校によって異なります。選考日には、学力検査や適性検査、面接などが行われます。
入学手続きから卒業後までの流れは、次のとおりです。

よくある疑問とその答えよくある疑問とその答え

  • question
  • 能力開発校の利用にはどれくらいお金が必要ですか?
  • question
  • 入校検定料・入校料、授業料は無料です。ただし、教科書代や訓練期間中の昼食代は、自己負担となります。また、訓練期間中は実習中のケガを保証するために保険に加入することが義務付けられることもあります。

    雇用保険受給資格等で一定の条件を満たした場合、入校すると同時に手当が支給されます。該当するか知りたい人は、能力開発校の申し込みを行うハローワークに聞いてみましょう。
  • question
  • 入学の選考とはどのようなものですか?
  • question
  • 入校の選考方法や基準は能力開発校によって異なります。基本的には、学力検査として国語や数学などのテスト(中学校卒業レベル)を受け、面接で就職する意思があるかどうかの確認や適性判断などが行われます。
  • question
  • 能力開発校を卒業した人はどういう業界で働いていますか?
  • question
  • 一般企業の事務部門、飲食店、学校や食堂などの給食施設、建設会社、介護施設などに就職しています。能力開発校では二級建築士など、資格の取得に向けて学ぶコースもあります。学ぶ内容に合わせて就職先を選ぶことができます。