トライアル雇用制度障がいのある人が本採用に向けて試しに働くことができる「トライアル雇用制度」とは
動画でわかる「トライアル雇用制度」の概要
はじめに
障がいがある人の中には、仕事を始める前に、「本当にこの会社で働けるのかな?」「仕事ができなかったらどうしよう」と不安になる人もいると思います。また、会社側もいきなりの本採用には踏み出しにくいこともあります。そんなお互いの不安を解消するために、まずは会社でお試し期間として働くことができる制度が「トライアル雇用制度」です。
「トライアル雇用制度」の内容、対象、利用できる期間、利用までの流れ、よくある疑問について詳しく説明します。
トライアル雇用制度とは
「トライアル雇用制度」とは、就職を希望する障がいがある人に対して、原則として3か月間、精神障がいや発達障がいがある人の場合には最長で12か月、会社で試しに働くことができる制度です。仕事の適性や能力を見極めながら、早期就職のきっかけを作ることを目的に作られました。仕事をすることに不安がある人や、働いた経験がない人などは、まずトライアル期間に仕事に対する不安や疑問を解消し、会社で働くことができるか判断することができます。
トライアル期間が終わった後は、本人と会社の双方が希望した場合、引き続きその会社で働き続けることも可能です。実際にトライアル雇用制度を利用した人の多くが、正式な雇用(本採用)へ移行しています。
トライアル雇用制度のメリット
利用者側のメリット
- ・一緒に働く可能性のある人(上司や同僚など)を知ることができる
- ・仕事内容が自分に合っているかどうか、判断することができる
- ・障がいの特性に合わせて、働き方を工夫できるか試すことができる
- ・会社に対して要望がある場合は、事前に対応が可能かどうか確認することができる
会社側のメリット
- ・会社側が求める仕事に対応できるか、見極めることができる
- ・障がい者の特性を考慮しながら、働くための環境を整える事前準備ができる
- ・職場の上司同僚が本人の状況を理解することでスムーズに本採用へ移行できる
トライアル雇用制度を利用した人は、本採用されてから後も長く働くケースが多いです。会社側も障がい者本人や特性に対する理解が深まり、職場環境の準備を整えながら、本採用へとつなげられます。
誰が利用できるのか
トライアル雇用制度を利用できるのは、身体障がい、知的障がい、発達障がい、精神障がい、難病などがある人で、仕事をする上で制限な人や、仕事をすることが困難な人が対象となります。ただし、利用するにはいくつかの条件があります。
対象者
障がいのある人で、以下の条件のいずれかに当てはまる人(仕事を紹介する日の時点で条件を満たす必要があります。
- ・過去2年以内に、転職や離職を2回以上繰り返している
- ・仕事をしていない期間が1年を超えている
(厚生労働省資料を元に作成)
このほか、最近では生活困窮状態の人や45歳未満のニート・フリーターなどもトライアル雇用制度の対象となります。いずれの場合も、トライアル制度の内容を理解し、就職を希望していることが条件となります。
「トライアル雇用制度助成金」について
障がいのある人を雇用する会社に対して、助成金が支払われる制度が「トライアル雇用制度助成金」です。一定の条件を満たした場合は、対象者1人につき月額4万円~が受給されます。助成金は、障がい者雇用の促進と継続的な雇用の促進が目的です。
利用できる期間・年齢
トライアル雇用期間は、一般的には最長で3カ月となりますが、精神障がいや発達障がいがある人については最長で12か月となります。また、精神障がいや発達障がいがある人の場合には、週10時間の短時間から働くことができる、「障がい者短時間トライアル雇用」を利用することもできます。
トライアル雇用の利用期間は、3カ月~12カ月の間で、会社と相談しながら決めます。期間内であれば相談の上で延長することもでき、雇用期間中は給料が支払われます。
トライアル雇用期間終了後については、障がいのある人と会社の双方が希望した場合、新たに雇用契約を結び本採用となりますが、仕事の内容が合わないと感じた場合や、仕事をすることが難しいと判断した場合、その時点で契約期間は終了となります。
年齢制限は特にありませんが、それぞれの会社によって定められている年齢条件を満たす必要があります。
どうすれば利用できるのか
トライアル雇用制度を利用するためには、まずは住んでいる地域のハローワークに相談してみましょう。ハローワークでは職業相談や障がいの特性に合わせた働き方について、専門家に相談することができます。求職登録と職業相談を行い、ハローワークからの紹介でトライアル雇用制度を導入している会社に申し込みを行うことができます。
トライアル雇用の利用に際しては書類選考だけでなく、企業との面接が行われます。利用が決まれば雇用契約を結び、トライアル雇用がスタートします。
障がいのある人に対して就職支援を行っている「地域障がい者職業センター」や「就労移行支援事業所」でも、トライアル雇用の申し込みを行うことができます。その場合は、それぞれの職業センターや事業者が、ハローワークを通してトライアル雇用の応募を行います。
よくある疑問とその答え
- トライアル雇用の間にお給料はもらえるのですか?
- トライアル雇用期間中も、給料をもらうことができます。
- トライアル雇用から本採用された場合、一般の就職と何か違いますか?
- トライアル雇用制度を利用することで、仕事の適正を見極めることができ、会社も働く環境を整えることができます。一般の就職では、その仕事が自分に合っているかどうか確認できていない状態で働きはじめるため、仕事に対する不安や心配を抱える可能性があります。また、会社側も受け入れ体制が不十分になってしまうおそれがあります。長く仕事を続けるために、お試しで働きたいという人は、まずトライアル雇用制度を利用するのがいいでしょう。